びわ湖で遊ぼうと誘ったら、臭いからイヤと断られた。 びわ湖へダイブ。その後、水道水でシャワー。微妙な気分。 悲しいときびわ湖へ行った。ゴミが迎えてくれた。より悲しくなった。 久しぶりにびわ湖を見た。相変わらず汚れていた。
びわ湖は日本一でかい湖やねん、と今更ながら自慢する。 助手席の彼女は、僕のドライブテクよりびわ湖に感動していた。 電車からびわ湖が見えた。隣の親子がはしゃいでいた。 久しぶりにびわ湖を見た。水面がキラキラしてて綺麗だった。
びわ湖なんか、なくてもいい、なんてやっぱり思えない。
滋賀で暮らし、またびわ湖の恩恵を受けている私たちは、 今一度、びわ湖が抱える環境問題を真剣に受けとめ、 私たちだからこそ出来ること考え、行動しました。
はじめに、ヨシという植物についてご紹介します。
私たちとヨシとの出会いは、お歳暮でした。 弊社からの贈り物に「滋賀らしさ」を取り入れるため、 お手紙の用紙に西川嘉右衛門商店様(滋賀県近江八幡市)の ヨシ紙を使わせて頂いたこと、また、新商品として 何か使える素材はないかと探していた時期でもあり、 このことをきっかけに、ヨシについて調べました。
「まずは、ヨシを知る」 全てはここから始まります。
名称 | ヨシ(葦)またはアシ(地域によって異なります) |
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分類 | イネ科ヨシ属の多年生草木 |
生息地 | 湖沼、河川などの水辺、湿地帯 |
特性 |
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ヨシは新芽を出し、穂をつけるまでの盛夏に 急速に生長するとともに、CO2を吸収します。
ヨシは群れをなして生え、水中に根を下ろします。 その根元は泥が溜まり、水流から湖岸の浸食を防ぎます。
ヨシ原の水中は多くの魚の産卵の場となり、 地上ではヨシキリなどの野鳥の棲息地になります。
ヨシは夏の成長時に、水中に伸びた根から「富栄養化」の 原因でもあるリンや窒素といった成分を栄養素として 吸い上げます。
こうして、知っているようで、まるで知らなかった ヨシの力や存在を、より詳しく知ることということで、 ヨシと私たちの距離が近くなったかのように思われました。 しかし、現在ではヨシと人との関係は薄れつつあるのです。
ヨシのおかれた現状を知ることは、 私たちのプロジェクト誕生のきっかけとなったのです。
滋賀県にはびわ湖をはじめとする自然環境を守るために、 いくつもの条例が制定されています。 『マザーレイク21計画』の目標の一つにも 「2010年までにヨシ群落の新規構造による 生物生息空間を確保する」と掲げられ、 滋賀県の環境問題には必ずヨシ群落が登場します。
「滋賀県琵琶湖のヨシ群落の保全に関する条例(ヨシ群落保全条例)」は 1992年7月1日に制定され、「美しい琵琶湖を次代へ引き継ぐ」ことを 合言葉に、具体的なヨシ群落の保全活動が始まりました。
保全区域の指定を行い、保全に支障のある行為を規制し、ヨシ群落を守ります。
ヨシの刈り取りを進め、ヨシの新たな利用方法を見出し、生活の中で活用します。
ヨシの増殖・再生を図り、清掃やヨシ刈り・植栽を行い、ヨシ群落を育てます。
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滋賀県や大阪・淀川では12月から3月にかけて学校や企業、 NPO団体によるヨシ刈りボランティアが行われています。 また、健康的なヨシを育てるためにも、滋賀県下で行われる ヨシ刈りは全て公的な機関によって管理され、ヨシ群落内での 行為は厳しく規制されています。 | ||
しかし、ヨシの活用はあまり進んでいません。ヨシは古くから 私たちの生活のなかで、葦葺き(よしぶき)屋根や葦簾(よしず) などに使われてきましたが、ライフスタイルの変化や、安価な 輸入品により、ますますヨシが活用されることが少なくなった からです。また、ヨシ事業者の高齢化や職人不足など、 ヨシ事業の衰退も懸念されています。このような現状や、 ヨシの魅力を知らない世代へと移り行く今、ヨシの存在が 危ぶまれています。 | ![]() 葦葺き(よしぶき)屋根 ![]() 葦簾(よしず) |
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昭和30年代のヨシ群落の面積は260haありましたが、現在ではおよそ半分の130haに減少してしまいました。 | ![]() |
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私たち(株)コクヨ工業滋賀は、2007年11月に「リエデン プロジェクト」を発足いたしました。
びわ湖の環境を守るという理念のもと、ヨシの活用に取り組み、広くびわ湖の環境保全意識をひろめる商品開発を進めてまいります。
ヨシは手入れされることで、春に芽を出し、より丈夫なヨシ群落になります。
ヨシの存在や働きによって、よりよい自然環境が保たれます。
刈り取られたヨシは、活用されることなく、ヨシ原に放置され腐るか、または焼却処分され、 無駄なCO2を排出していました。
そこで新たなヨシの活用法を見出し、ヨシを原料とした画期的なものづくりを開発し、 ヨシを製品として、製造・加工します。
びわ湖やヨシ群落について、より多くの人に知ってもらうためにも、商品の価格は 手にとっていただきやすい設定にしています。
さらに商品の売上の一部を、ヨシ群落の保全活動の資金としてNPO団体をはじめとする機関に寄付し、 役立てています。
リンや窒素を吸い上げた枯れヨシを刈り取ることで、富栄養化防止につながります。
これまでにご協力頂いた方をご紹介します。 ご協力誠にありがとうございます(敬称略・順不同)
ヨシ博物館館長の西川嘉廣さんのお話では、ヨシもアシも植物学的には同じで、昔はアシと呼ぶのが主流でしたが、「アシ」は「悪し」と同じ響きであることから、「善し」に通じる「ヨシ」に変えたそうです。呼び方は地域により異なり、関東では「アシ」、関西では「ヨシ」が一般的です。また、ヨシ事業者により「アシ」は「オギ(荻)」という別の植物を意味することもあります。漢字には古来より、葭、蘆(異字体 芦)、葦が用いられています。 江戸時代前期、日本橋葦屋町(現在の日本橋人形町)に遊廓が許可され、「葦原」が誕生しました。その名前の由来は、遊郭の開拓者が駿府(現在の静岡市)、東海道の宿場・吉原宿出身であったためという説と、葦の生い茂る低湿地を開拓して築かれたためという説があります。後に「葦」=悪しに通じるのを忌んで「吉」とし「吉原」と改名されました。
ヨシは水中に下ろした根から、富栄養化の原因でもあるリンや窒素といった成分を吸い上げることで、水質浄化に役立ちます。しかし、刈り取らずに放っておくと、冬に枯れたヨシ群落は腐り、ヨシが吸い上げた成分は再び水中へ戻ってしまいます。結果、水質浄化につながることなく、さらにヨシ群落は弱小化してしまいます。刈り取り手入れを施すことで、ヨシは元気になり、ヨシ群落が増えるので、ヨシを刈り取ることは自然環境の保全につながるのです。 しかしながら、無計画に刈り取ることは、かえってヨシ群落に悪影響を及ぼしかねません。そのため、滋賀県ではヨシ刈りを行う際は、必ず公的機関への申請が必要となっています。ヨシ群落やその周辺環境の状況を考え、計画的にヨシ刈りを行うことが大切です。
ヨシは宿根、多年生植物のため刈り取っても無くなることはありません。また、現在ではヨシを原料とした製品は少なく、一度に大量消費されることもありませんので、ヨシが足りないという状況は、まず無いと思われます。しかし、ヨシを全て刈り取り、春に全てのヨシが新芽を出し生長するということは、大変喜ばしいことで、そのような奇跡が起こせるよう、私たちも頑張らなくてはならないと思います。 尚、ヨシ群落はびわ湖に約130ha、淀川鵜殿(大阪府高槻市)に約75haが確認されていて、他にも北上川河口付近(宮城県)や渡良瀬遊水池(利根川中流部)など日本各地に広がっています。
ヨシの歴史を辿ると、ヨシは世界中で私たちの生活の場で活躍してきました。ヨシ博物館館長の西川嘉廣さん著『ヨシの文化史』〈淡海文庫〉ではそのヨシのことが詳しく書かれています。 紙:パルプ化され紙として使われています。私たちも「リエデン シリーズ」としてヨシを紙にしてヨシ製品を開発、製造しています。→商品一覧 生活用品:古くは、食料、生薬原料、肥料、燃料、漁具、葦舟として使われていました。江戸時代にはストローとして用いられた例もあります。 楽器:「葦笛」というヨシならではの音色の楽器になります。オーボエやクラリネット、篳篥(ひちりき)などの楽器に用いられる薄片の「リード」の語源は、葦(reed)から来ています。現在でもフランス産などの葦が使用されている物もあります。 インテリア:ヨシを縦方向に割いて糸と編んだ色紙掛け、短冊掛け、敷物など工芸品に、また、夏には襖(ふすま)の代わりとして葭戸、茶道で葭棚、ヨシで出来た衝立(ついたて)や葭簀(よしず)などに使われていました。 建築:低くて軽い葭垣や、現在でも時々見かける葭葺き屋根に使われています。 しかし、現代ではライフスタイルの変化や、安価な輸入品により、ヨシが活用されることは少なくなりました。さらに、ヨシ事業者の高齢化や職人の減少など、ヨシ事業の衰退も懸念されています。時代に合った画期的なヨシの活用方法を見出し、普及を図ることが大きな課題です。
Re・・・戻る、還る、帰る(return) EDEN・・・楽園、パラダイス このプロジェクトを始めるにあたり、私たちにとってびわ湖や、ヨシ群落をはじめとする自然環境とは何であるかと考えました。生命が誕生するこの自然こそが「喜びの園」であり、まさに「エデン」であるという答えに辿り着きました。 私たちは、「エデン」から受けた恩恵をまた「エデン」に還すことが、人と自然がお互いに守り育て共存することだと考え、また、その「エデン」に自らが帰ることを望んで「リエデン」と名付けました。 ※「エデン【EDEN】」は旧約聖書創世記の言葉ですが、ここでは宗教的な意味は含みません。 リエデンのブランドロゴマークに鳥がいますが、それは「オオヨシキリ」という野鳥をモデルにしています。オオヨシキリはスズメ目ウグイス科の鳥で、全長は18cm程です。びわ湖湖畔のヨシ群落で生息しています。このような野鳥をはじめとする、全ての生き物を守りたいという願いを込めて生まれたブランドです。
ヨシはパルプとして紙に入っています。刈り取られたヨシはパルプ化し、抄紙して紙にします。「リエデン シリーズ」ではヨシパルプ以外に古紙パルプ、ECFパルプ(無塩素漂白)、FSCパルプ(森林認証紙)、バージンパルプを使用しています。もちろん「ヨシ100%名刺」はヨシパルプ100%で出来ています。
「リエデン シリーズ」の「ヨシコピー用紙」、また「ヨシノート」、「ヨシメモ」の中紙にはヨシパルプが1%しか含まれていません。それは、ヨシの刈り取り、パルプ化、製紙といった製造工程にコストがかかり、そのため価格の高い商品に仕上がってしまいます。そこで、コストのかかる原料の配合を少なくすることで、お客様に手にとって頂き易い商品価格を実現しました。また、商品の筆記性を考慮し、1%に留めることで品質を損なうこと無く、使って頂けると考えた結果です。 商品の見た目には1%のヨシパルプは確認出来ませんが、製紙工程で抄紙に合った分量のヨシパルプを投入しています。
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また、通信販売カウネット様のWebページから通販でご購入頂けます。
・コクヨSHOWCASE ・カウネット
びわ湖と淀川水系のヨシを使用しています。(2008.3月現在)